残酷なゴア描写と毒々しいグロテスク映像が楽しめるスプラッター映画。
オカルトやゾンビと並ぶホラー映画の代表的なジャンルであり、1960年代から現代までに、記念碑的な傑作からマニア御用達のB級スプラッターまで、多数の作品が製作されている。
そんなスプラッター映画の中でも、ゴア度、グロテスク度、残酷度が突出した作品と、その全シリーズを含めた『おすすめスプラッター映画の一覧・総作品数64本』を紹介する。
飛散する血肉、えぐれる目玉、切断される手足、したたる髄脳など、その強烈な映像とカルチャーショックで地獄を体験できるだろう。
満足できるスプラッター映画がきっと見つかるはずだ。
悪魔のいけにえ シリーズ
スプラッター映画の頂点に君臨
シリーズ1作目
公開/1974年
<メインスタッフ>
監督・製作・脚本/トビー・フーパー
脚本/キム・ヘンケル
<メインキャスト>
ガンナー・ハンセン/マリリン・バーンズ/アレン・ダンジガー/エドウィン・ニール
猟奇的・ゴア・グロテスク・初心者
スプラッター映画の記念碑的作品。鬼畜ファミリー・ソーヤー家による、異様な凶行を描く傑作シリーズだ。実際に起きた連続殺人事件をモチーフにしたともいわれている。
剥ぎとった被害者の「顔」を被るレザー・フェイスが登場。身長2m近い怪力の凶漢で、被害者をハンマーでなぶり殺したり刃物で胴体をバラバラに解体したりと、強烈な惨殺を繰り広げる。精神的ショックとゴア描写が圧巻の、最恐スプラッター映画だ。
カルト的な人気を博しており、2021年現在までに合計7本の続編やリメイク、リブート作品が製作されている。
ファイナル・デスティネーション シリーズ
疾走感・臨場感に溢れる痛快スプラッター
シリーズ1作目
公開/2000年
<メインスタッフ>
監督・脚本/ジェームズ・ウォン
脚本・製作/グレン・モーガン
<メインキャスト>
デヴォン・サワ/アリ・ラーター/カー・スミス/トニー・トッド
パニック・ゴア・スリリング・初心者
ホラー映画でおなじみの「ファイナルデッド〇〇シリーズ」の正統作品で、痛快スプラッターとして人気を博している。
とあるグループが旅行やレクリェーションを楽しむ中、ひとりの若者がこれから起こる大惨事を予知夢し、現実世界でも大勢が犠牲となる。数人の男女が難を逃れるも、順番に数奇な運命を辿り壮絶な死に方をしていく。
全シリーズとも同じストーリー展開であるが、みじん切りされる胴体、日焼けサロンでの焼死やアトラクションでの激突など、凄惨で衝撃的な描写が映しだされる。
シリーズは全5作品。飛行機墜落、高速道路で玉突き炎上、遊園地アトラクション破損、サーキット場での大クラッシュ、ゲートブリッジ崩壊など、いずれも見応え抜群だ。
ソウ/SAW シリーズ
脱出系スプラッターの傑作
シリーズ1作目
公開/2004年
<メインスタッフ>
監督/ジェームズ・ワン
脚本/リー・ワネル
<メインキャスト>
ケイリー・エルウィス/リー・ワネル/ダニー・グローヴァー/ケン・レオン
シリアルキラー・トラップ・ゴア・スリリング・初心者
脱出系スプラッター映画の代表的作品。ジェームズ・ワンとリー・ワネルが仕掛ける予測不能なトラップと絶望的な恐怖に震える、秀逸ホラー映画だ。
目覚めると、見知らぬ密室に監禁されている複数の男女。脱出を図り狂奔するものの、猟奇的なシリアルキラー・ジグソウの罠にはまり、無残な死を遂げてしまう。
ノコギリで手足を切断したりカミソリワイヤーで殺傷したりと、ゴア描写も痛烈。しかし、視覚的な恐怖よりも、ジグソウの冷酷さやマインドに戦慄が走る。
特殊な拷問器具も印象深く、謎を解いていくストーリー展開、1作目の驚愕のラストなど、『ソウ』シリーズは見応え抜群である。
シリーズ作品は全9本。2021年には、待望の最新作『スパイラル:ソウ オールリセット』がアメリカで公開予定だ。
13日の金曜日 シリーズ
古典スプラッターの冠作品
シリーズ1作目
公開/1980年
<メインスタッフ>
監督・製作/ショーン・S・カニンガム
脚本/ヴィクター・ミラー
<メインキャスト>
エイドリアン・キング/ケヴィン・ベーコン/ベッツィ・パーマー/ハリー・クロスビー
殺人鬼・スリリング・キャンプ・初心者
最も有名なホラー映画のひとつとして知られる人気シリーズ。1980年に第一作が公開されるや、その衝撃と恐怖は世界中で賞賛され、スプラッター映画ブームを到来させた。世界3大ホラー映画とも称されている、スプラッター映画の殿堂作品だ。
『13日の金曜日』を象徴するのが、ホッケーマスクの殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズ。キャンプやバカンスを楽しむ若者らを執拗に追い回し、一切の言葉を発することなく皆殺しにする殺戮マシーンである。何度でも蘇る不死身の肉体を持ち、人間を超越した怪物として人々を恐怖に陥れる。
『13日の金曜日』は第一作の公開以降、10作品以上のシリーズやリブート作品が製作されるなど、ホラー映画の域に留まらない実績を誇ってる。
死霊のはらわた シリーズ
伝説的ゾンビスプラッター
シリーズ1作目
公開/1981年
<メインスタッフ>
監督・脚本/サム・ライミ
製作/ロバート・タパート
<メインキャスト>
ブルース・キャンベル/ベッツィ・ベイカー/ハル・デルリッチ/エレン・サンドワイズ
ゾンビ・悪魔・グロテスク・初心者
ゾンビや悪霊をテーマにした人気スプラッター映画シリーズ。
シリーズ第一弾は、多くのヒット作を手掛けるサム・ライミ監督がインディーズムービーとして製作。30億円(2021年現在レート)近い興行収入を獲得し、異例の大ヒットを記録した。
森のキャビンでキャンプを楽しむ5人の若い男女。地下室で発見した死者の書を遊び半分で朗読し、悪霊を復活させてしまう。男女らは夜が明けるまで、壮絶な恐怖に襲われる。
皮膚が溶け出したり白目が剥き出しになったりするなど、不気味で恐ろしい特殊メイクや、ドロドロのグロテスク描写が満載。地下に閉じ込められた悪霊が、床下戸の隙間から恐ろしい顔を覗かせるシーンは、伝説的である。
主役的な存在であるアッシュは、コアなファンの間から多大な支持を得ている。その人気の高さゆえ、シリーズ2作目はアッシュにスポットを当てた内容で製作された。
チャイルド・プレイ シリーズ
人形系スプラッター映画の象徴作品
公開/1988年
<メインスタッフ>
監督・脚本/トム・ホランド
脚本・原案/ドン・マンシーニ
<メインキャスト>
ブラッド・ドゥーリフ(声)/アレックス・ヴィンセント/キャサリン・ヒックス
人形・サイコキラー・スリリング・初心者
88年に公開されたシリーズ第一弾はメガヒットを記録。日本国内でも絶大な人気を博した。悪名高いアンチヒーロー、チャッキーが登場する。
ブードゥーの奇術で人形に憑依した、チャッキーこと凶悪殺人鬼チャールズ・リー・レイ。復活のために人体を奪い取ろうと、無邪気な子供に牙を剥く。
子供を中心とした内容であることから、残虐性は低い。しかし、スリル溢れるストーリー展開は見応え充分で、迫りくるチャッキーの恐怖に凍りつく。
続編6本、リメイク1本が製作されている、大人気シリーズだ。
マーターズ
カルト集団の理想郷を描く難解スプラッター
公開/2008年
<メインスタッフ>
監督・脚本/パスカル・ロジェ
製作/シモン・トロティエ
<メインキャスト>
モルジャーナ・アラウィ/ミレーヌ・ジャンパノイ/カトリーヌ・ベジャン/ジュリエット・ゴスラン
カルト・拷問・監禁・ゴア
鬼畜な宗教団体と、その被害者である女性との紛争を描いたカルトスプラッター。
カルト集団らが、生きたまま死後の世界を覗ける殉教者(マーターズ)にするため、弱者を拉致監禁する。被害者を支配し、全身の皮を剥ぎとり神経むき出しの状態にしたりして、甚大な苦痛を与える。
ゴア描写も激しいが、カルト集団の言動がより悍ましい。目的を果たすための強圧的な様相には、虫唾が走る。中でも、奇怪で不愉快な結末は、2度見すること間違いなしだ。
屋敷女
トラウマ必須の戦慄スプラッター
公開/2007年
<メインスタッフ>
監督・脚本/アレクサンドル・バスティロ
製作/ヴェラーヌ・フレディアニ
<メインキャスト>
ベアトリス・ダル/アリソン・パラディ/バプティスト・タブーラン
トラウマ・ゴア・妊婦・スリリング
残虐性が極めて高い、衝撃のフレンチスプラッター。その激しい過ぎる映像から、世界各国で倫理審査拒否や公開禁止となった。
謎の黒髪女が、未亡人となった妊婦の宅内に侵入し、鋭利な刃物で妊婦を切り刻む。
息をのむスリリングなストーリー展開と、無残なショッキングシーンが描かれる。とりわけ、妊婦の腹を切り裂くシーンは、ゴア耐久に自信がある人でも目を背けてしまうほど、強烈だ。
スプラッター初心者や女性、特に妊婦の方は心して鑑賞して欲しい。
ホステル シリーズ
痛烈描写に悶絶する拷問スプラッター
シリーズ1作目
公開/2005年
<メインスタッフ>
監督・脚本・製作/イーライ・ロス
製作/クリス・ブリッグス
<メインキャスト>
ジェイ・ヘルナンデス/デレク・リチャードソン/リック・ホフマン/三池崇史
拷問・監禁・ゴア・スリリング
アメリカとチェコの合作による、拷問系スプラッター。生々しく痛烈な描写と高いストーリー性が絶賛され、大きな興行成績を収めた。
どんな欲望も満たせるホテルの噂を聞きつけた3人の大学生。現地に辿り着いた3人は、ホテルでの快楽満悦から一転、想像を絶する地獄を見る羽目になる。
下着姿で椅子に縛り付け、サディスティック男が多様な器具類を使って極限の拷問を加える。そのゴア描写は超絶だ。
3本のシリーズが製作されており、いずれも刺激が強くハードな作品である。
ムカデ人間 シリーズ
卑劣を極めた残酷スプラッター
公開/2009年
<メインスタッフ>
監督・脚本・製作/トム・シックス
製作/イローナ・シックス
<メインキャスト>
ディーター・ラーザー/アシュリン・イェニー/北村昭博
拷問・ゴア・スリリング・マニアック
オランダ産ショッキングスプラッター。醜悪を極めた設定と刺激的な残忍描写で、ホラー映画ファンから多大な支持を獲得した。
偏執的なドイツの名医が、肛門と口を繋いでムカデのような人間を創り出そうとする奇行を描く。
2作目では、精神疾患を患った男が10人のムカデ人間を創造。刑務所職員が500人の囚人を繋げようとする3作目など、シリーズ全作とも残虐非道だ。
また、日本人俳優の北村昭博が、全シリーズに連続出演している。
ハイテンション
予測を覆すフレンチスプラッター
公開/2003年
<メインスタッフ>
監督・脚本・製作/アレクサンドル・アジャ
製作/ロバート・シェイ
<メインキャスト>
フィリップ・ナオン/セシル・ドゥ・フランス/マイウェン/フランク・カルフン
サイコパシー・ゴア・スリリング・初心者
破壊人格をテーマにしたスプラッター映画。激しいゴア描写や意表を突いた結末などが高く評価され、世界的ヒットを記録した。多くのホラー映画を手掛ける、アレクサンドル・アジャ監督の出世作としても知られている。
ひとりの若い女性が、友人を拉致した正体不明の殺人鬼とし烈な戦いを繰り広げる。飛散する血液や傷ましい描写など、暴力的なフランスホラーだ。
シリーズ化はされていないが、本作の人気は抜群で、新世代スプラッターの代表作品に位置付けられている。
グリーンインフェルノ
残酷なカニバルスプラッター
公開/2013年
<メインスタッフ>
監督・脚本・原案・製作/イーライ・ロス
<メインキャスト>
ロレンツァ・イッツォ/アリエル・レヴィ/ニコラス・マルティネス/ダリル・サバラ
カニバル・グロテスク・トラウマ・マニアック
80年代に、各地で大きなカルチャーショックをもたらした食人族のリメイク作品。『ホステル』のイーライ・ロス監督が手掛けている。
改革派グループとひとりの女子大生が、アマゾン奥地で暗躍する企業への抗議活動のため、現地に向かう。そこには、人肉を喰らう原住民族が暮らしていた。
殺害や捕食シーンは血生臭く、正視不可能。初心者には耐え難い、比倫を絶するグロテスク映画である。残酷描写のみならず、植民地主義に切り込んだ高いストーリー性も見所だ。
地獄の門
レジェンド・オブ・イタリアホラー
公開/1980年
<メインスタッフ>
監督・脚本/ルチオ・フルチ
製作/ジョヴァンニ・マッシーニ
<メインキャスト>
カトリオーナ・マッコール/クリストファー・ジョージ/ジャネット・アグレン/ミケーレ・ソアヴィ
ゾンビ・ゴア・グロテスク・マニアック
イタリアの奇才ルチオ・フルチ監督が放つ「3大ゾンビスプラッター」の第一弾。グロテスクシーンが満載で、非常にアクが強い映画である。
霊界から彷徨い出てきた死者たちが、この世の生者を見境なく殺しだす。飛散する髄脳、逆流噴射する内臓、大発生する蛆虫。この有名な3大グロテスクシーンは必見だ。
正統なシリーズではないが、ルチオ・フルチ監督の『サンゲリア』は、同系列作品として扱われている。
ビヨンド
究極のグロテスクスプラッター
公開/1981年
<メインスタッフ>
監督・脚本/ルチオ・フルチ
脚本/ダルダーノ・サケッティ
<メインキャスト>
デヴィッド・ウォーベック/カトリオーナ・マッコール/サラ・ケラー
ゾンビ・グロテスク・ゴア・マニアック
ルチオ・フルチ監督のゾンビ映画シリーズ最終章。壮絶グロテスク映画として知られる同監督の『サンゲリア』『地獄の門』に匹敵する、残酷映画である。
ストーリー性は皆無。不愉快なリンチや人の顔をむさぼり食うタランチュラなど、破滅的なグロテスク描写のオンパレードで、独特で濃厚なイタリアホラーを心ゆくまで堪能できる。
一般的なホラー映画とは別次元の、マニア向けスプラッターだ。
ヒルズ・ハブ・アイズ
人道無視の問題作
公開/2003年
<メインスタッフ>
監督・脚本/アレクサンドル・アジャ
原作・製作/ウェス・クレイヴン
<メインキャスト>
アーロン・スタンフォード/セキャスリーン・クインラン/エミリー・デ・レイヴィン
カルト・グロテスク・マニアック
名作スプラッター映画『サランドラ(1977)』のリメイク作品。卑劣で残酷、非人道的な設定など、倫理的物議を醸した問題作だ。
核実験の影響を受けて奇形化した一族が、町に訪れる人間を襲い殺す。グロテスクで強烈な殺戮シーンや奇形の特殊メイクに嗚咽し、胸くそが悪くなる。実際の事件がモチーフという説もあり、後味は最悪だ。
第一作の劇場公開時は、一部の衝撃シーンがカットされた。その問題のシーンは、完全版収録作品で鑑賞できる。
最恐スプラッター映画でエキサイティングしよう
今回は、『おすすめのスプラッター映画の一覧・総作品数64本』を紹介した。
いずれの作品も、悍ましいゴア描写やグロテスク映像を堪能できる、最高のスプラッター映画だ。一方で、激しいショックがトラウマ化する恐れもあるため、初心者やゴア耐久性弱者などは、注意して鑑賞して欲しい。
地獄を味わいたい強者には、全作品の鑑賞をおすすめする。
©Warner Bros. Entertainment Inc.
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